
高齢者施設へ転職を考えている方は
・施設看護師の役割って何だろう?
・病棟看護師とどう違うんだろう?
という疑問があるのでは?
現在介護付き有料老人ホームで働く私も、転職時は同じ疑問を抱えていました。
実際に高齢者施設で働いてみると、やはり「医療機関」で働いていたときとの違いは強く実感しますね。
施設に転職した看護師のなかには「イメージと違った」「やりがいを感じない」といった理由で早期に離職してしまう方も多いようです。
でも、病院の施設も役割が違うだけで「看護師」としての視点は同じなんですよ。
転職前に施設看護師としての役割や病棟看護師との違いを理解しておけば、ギャップに苦しまずに済むのではないでしょうか。

私は気持ちよく働けています。
この記事では、「施設看護師の役割」についてお話します。
高齢者施設で働いてみたい看護師さんの参考になれば嬉しいです。
施設看護師の主な役割
施設看護師のおもな役割は以下の4つです。

1つずつ説明しますね。
入居者の健康管理
一番大切な前提として、高齢者施設で暮らす目的は治療のためではありません。
施設は「生活の場」です。
施設で生活されている方は「入居者さん」であって「患者さん」ではないのです。
もちろん医師は常駐していません。

だからこそ看護師による日々の健康管理が大切なんです。
介護付き有料老人ホームを例にお話しすると、看護師の人員基準は入居者30名までは常勤換算で1人以上、50人増すごとに1人追加となっています。
つまり入居者が50名なら看護師は2人ほど。
ひとりで多くの入居者さんをみるので、医療処置のある方とは深く関わることができますが、お元気な方との接点は意識しないと少なくなってしまいます。
私は、毎日居室をまわったり、レクリエーションに参加したりして、変化を見逃さないように注意しています。
ご家族と施設・医療機関との橋渡し役
ご家族への連絡は施設長もしてくださいますが、医療的な連絡はおもに看護師が担います。
・医師との面談の日程調整
・体調不良(発熱や下痢など)や事故(転倒など)が起きたときの状況報告
ご家族に「安心して任せられる」と感じていただけるような対応を心がけなければなりません。
ご入居されたばかりでご家族の不安が強い場合は

今日は絵手紙のレクリエーションに参加されて、素敵な作品が出来上がりましたよ!
なんていう何気ない日常のご様子をお伝えすることもあります。
介護スタッフへのアドバイス
高齢者施設職員の中心的存在は間違いなく介護スタッフです。
日常生活のお世話からレクリエーションまで入居者の一番近くで働いているのですから。
しかし、介護スタッフは介護のプロですが医療職ではありません。
ベテランの介護スタッフは経験で知っていることも多いのですが、経験の浅い介護スタッフへは医療的なアドバイスが必要です。
例えば、
「血圧が高いときに入浴を控えるのはなぜか」
とか、
「ベッドから転落した方をすぐに動かしてはいけない理由」
など。

これが一番難しいかもしれません。
看護師には当たり前のことでも、介護スタッフにとっては当たり前ではないんですね。
医療的知識がゼロの方にも分かるように説明するのは案外難しいのですが、入居者さんの安全を守るうえでも介護スタッフへのアドバイスはとても大切です。
医療機関との連携
月に2回、提携している医療機関の医師が訪問診療にやってきます。
施設看護師は提携医療機関のスタッフ(医師、看護師など)が到着したら、該当する入居者の状態を報告し、指示変更や処方箋の確認を行います。

施設によっては提携医療機関が複数のこともありますよ。
私が働く施設では医師が居室をまわってくださいますが、医師によってはデイルームなどに入居者を集めて往診を行うこともあるようです。
医師は他の施設も担当していることがあり、入居者の顔や名前はおろか、現病歴や薬を変更したことも覚えていないことが多々ありますから、看護師が細かく確認します。

確認漏れがあると、後から電話で確認しなければならないので大変です。
ご入居して初めての往診や、状態に変化があってICを行う予定があればご家族をお呼びしますが、通常の往診にご家族は同席しません。
往診内容をご家族から聞かれることもあるので、しっかり記録に残しておきます。
病棟看護師との違い
ご存じのように、医療機関で働く看護師は診療の補助が重要な役割です。
病院やクリニックなどの医療機関は「治療する場」なのだから当然ですよね。
対して高齢者施設は先ほどもお話ししたように「生活する場」です。
「病気を治療して退院する」ことが最大のミッションである病院に対して、高齢者施設のミッションは「何気ない日常を守る」こと。
ご入居者がどんな生活をしたいか、どんな死を迎えたいかを尊重し、施設で働くスタッフ全員で支えていくといった感じです。
そのなかで看護師として何ができるかを考えていくのが施設看護のやりがいなのかなと思います。
長く病院で働いていた看護師は「生命」が最優先という意識が植え付けられ、その方が大切にしている「生活」に気づけなかったりします。

私もそうでした。
でも、お一人おひとりにじっくり関わりたいと考えている看護師にはぴったりの職場です。
病院ではどうもうまくいかなかったけれど、施設ではイキイキと働いているという看護師もいます。
医療の最先端で忙しく働くよりも、ご高齢者とゆっくりお話ししたり、寄り添うのが好きという方は施設看護師としてやりがいをもって働けると思いますよ。
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